確定拠出年金×レラティブ・ストレングス投資【売買空白期間の検証】
売買空白期間によるロスと運用益非課税メリット
前回の記事:「確定拠出年金の運用法を考える【続き】」では、確定拠出年金を「レラティブ・ストレングス投資」で運用した場合の問題点について考えました。
今回は、その問題点への対処法と、具体的にどのくらいパフォーマンスに影響が出るのかを検証してみたいと思います。
問題点①.売買タイミングのズレ
レラティブ・ストレングス投資では通常月末の基準価額を基に売買シグナルを出します。
しかしSBI証券の確定拠出年金では、商品購入指図が出るのが毎月14日前後となります。
更にその4営業日前(毎月8日前後)までに運用指図を行う必要があります。
つまり、月末に出したシグナルに従って半月後に購入するという売買タイミングのズレが発生するわけです。
まあ、これについては一手間掛ければいいだけの話です。
- 月末の売買シグナルに従い、月初に運用指図を行う。
- 運用指図の期限直前に最新のシグナルを確認し、変更があれば指図を出しなおす。
これでも約1週間(4営業日)のズレは発生しますが、まあ、許容範囲とします。
その根拠としては・・・。
月末(1か月の中のある一日)の基準価額を使って売買シグナルを出すのがレラティブ・ストレングス投資です。
これはどういうことかというと、日単位・週単位の波は無視して、月単位の大きな波を捉えるということだと思っています。
であれば、4営業日程度のズレは、まあ大きな問題ではないかな、という判断です。
問題点②.売買による空白期間の発生
レラティブ・ストレングス投資のシグナルによって売買が発生する場合、保有資産については預け替えを行うことになります。
この預け替えに関しても、SBI証券の確定拠出年金のルールでは、申込み~売却~購入商品受け渡しまで約1週間かかります。
つまり、1週間の空白期間が発生してしまうのです。
売買空白期間によるロスを検証する
さて、これからが本題です。
この1週間の空白期間が、どの程度パフォーマンスに影響するのかを検証してみたいと思います。
まず、年間で何回売買が発生するのかを調べます。
直近1年間の上位2資産は以下の通りでした。
2014年4月 | 先進国株 | GREIT | |
2014年5月 | JREIT | 先進国株 | 1資産入れ替え |
2014年6月 | GREIT | JREIT | 1資産入れ替え |
2014年7月 | 新興国株 | JREIT | 1資産入れ替え |
2014年8月 | 新興国株 | JREIT | |
2014年9月 | 先進国株 | GREIT | 2資産入れ替え |
2014年10月 | GREIT | JREIT | 1資産入れ替え |
2014年11月 | GREIT | 先進国株 | 1資産入れ替え |
2014年12月 | GREIT | JREIT | 1資産入れ替え |
2015年1月 | GREIT | JREIT | |
2015年2月 | GREIT | 日本株 | 1資産入れ替え |
2015年3月 | GREIT | 日本株 |
レラティブ・ストレングス投資では上位2資産の均等配分ポートフォリオを組みます。
1資産入れ替えでは半分売買することになるので「0.5回」、2資産入れ替えは全部売買になるので「1回」として計算します。
すると直近1年間では「4.5回」の売買が発生していることが分かりました。
ちなみに、その前の年では「1.5回」でした。
ずーっと日本株と先進国株が強くて、あまり銘柄入れ替えが発生しませんでした。
これをどう考えようかと迷いましたが、平均するよりも直近の動向のほうを重視することにします。
ということで、4.5回⇒キリ良く「5回」として、以下の試算を行います。
次に、期待リターンを年率5%と仮定します。
すると、1年52週として、1週間の期待リターンは約0.1%となります。
上記の定義より、1年間に「5回」1週間の売買空白期間が発生し、都度「0.1%」の期待リターンを失うわけですから、年間約0.5%パフォーマンスが低下する計算になります。
運用益非課税のメリットと比較する
上の試算により、具体的なデメリットの数字が分かりました。
では次に「運用益非課税」というメリットについても試算を行い、比較してみたいと思います。
1年回に「5回」の売買ですから、「10週に1回」売買が発生する計算になります。
9週間0.1%ずつリターンを積み上げて10週目でそれを売却すると、0.9%の運用益が発生します。
通常はそこに20%課税されますから、0.9%×20%=0.18%税金で持っていかれるわけです。
しかし確定拠出年金では運用益が非課税になります。
ということは、売買による空白期間で0.1%のリターンを失う代わりに、0.18%の税金を取られなくて済むことになり、差引0.08%のプラス。
年間に直すと、0.5%のリターンを失う代わりに0.9%の税金が浮くことで、0.4%のプラスとなります。
メリットがデメリットを上回ることが分かりました。
結論.「やる価値あり」・・・確定拠出年金でレラティブ・ストレングス投資
確定拠出年金の運用益非課税メリットを生かそうと、レラティブ・ストレングス投資の導入を考えました。
しかし、いくつかのデメリットがあることも分かりました。
そして上記試算の結果、メリット>デメリットであることが分かりました。
であれば、通常のバイ・アンド・ホールドよりも高いリターンを期待できる「レラティブ・ストレングス投資」を導入しない手はない、という結論に至りました。
というわけで、確定拠出年金の運用方針、決定です。
確定拠出年金×レラティブ・ストレングス投資で行きます!
次回は運用指図のスケジュールなどを整理したいと思います。
私はここ↓で確定拠出年金を運用しています。
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Comment
レラティブ・ストレングス投資の空白期間の検証は参考になりました。
前提条件を設定しての検証なので、実際がどうなるかはわからないところがありますが、確定拠出年金でも使えそうなのは朗報です。
私は確定拠出年金が使えないので、運用レポートを楽しみにしています。
AKIさん
コメントありがとうございます。
今回の検証は年間5回の売買を前提としましたが、この回数がすべてですね。
少なければより非課税メリットが生きますし、多ければデメリットが逆転してしまうかもしれません。
今計算してみましたが、年間8回までならメリットが上回ります。
記事の通り、1資産のみの入れ替えは0.5回と数えますので、8回を超えることはそうないと思うのですが・・・。
実際やってみて気付くこともあると思うので、またレポートしたいと思います。
いつも参考にしております。
なかなか面白い試みですね。
公務員が確定拠出型年金が対応するまであと1年くらいですかね(笑)
拠出額も少ないのでこういった方法は私は取れないです。
非課税メリットをぜひ生かしてください。
ニシさん
コメントありがとうございます。
公務員も、専業主婦なんかも確定拠出年金に加入できるようになるみたいですね。
私も個人型で2号なので、月にMAX23,000円しか拠出できません。
もう少し多くしてほしいところですね~。
企業型の導入も考えましたが、何せ社員私一人なもので・・・(笑)
コスト負けしてしまうので個人型にしました。